ここ数年でロードレース界の機材は一変した。電動変速機に油圧式ブレーキ、ディスクブレーキなど飛躍的に技術革新が進んだ感がある。しかしそれは一体どこを目指してのものなのか、その進化は誰のためのものなのか、はたして必要な物だったのかという部分は殆ど議論されたことがない。ただ大手メーカーの新製品は最先端技術なんだという先入観に感化されているだけではないのか?そんな疑問を口にすることさえ業界内ではタブーとされている。それほどまでにメーカーの力が強い特異な業界、ならばあえてここでタブーとされていることを考えててみたいと思う。
まずは電動変速機から見てみよう。急激に普及した感のある電動変速機だが、幾つものメーカーが実は何度となく挑戦をしてきた過去がある。しかしながらその信頼性を向上することが出来ずに、普及することはなく、儚い夢と終わってしまった。そして当時の果敢に挑んだメーカーの幾つかは、その事自体が原因の一端となりコンポーネント開発からの撤退を余儀なくされた。
しかしそれでも変速機の多段化が進み、変速機の進化の方向性が限られてきたこともあり遂に電動変速化は本格化していった。今の変速機の電動化を一言で表すとするならば ”家電化”という言葉が一番当てはまるのではないだろうか。つまりはすでに機械ではなく家電の領域に大きく足を踏み込んでいるのだ。
さも当たり前のように電動シフターが市民権を得つつある中で、ふといくつかの疑問が頭をよぎった。まずはなぜ電動シフターが必要なのかということだ。電動ということはつまり電源がなければその機能は有効ではないということだ。また電池で電源を賄うのだが、電池が重いのも難点だ。つまりは電源がなければ変速機は”不便な道具”、電池は単なる重りでしかないということだ。
まずはレース界では電動化は複雑な受け入れられ方をしている側面がある。まずはメカニックからすれば、電子パーツの故障など対処できない部分が増えたことだ。またレース中にトラブルが起きた場合には、その場での調整や修理がほとんど効かず、ただ単純に機材の交換を余儀なくされることがほとんどである。レース中でなくとも、修理と言うよりは家電と同じく部品全体を交換せねばならず、そこには実は基盤や電子パーツ同士の’相性’というものも存在する。また専門的知識が必要なだけでなく、互換性が少ないのもデメリットだ。
レースとは人間同士の勝負である、そこに不可抗力でどうしようもないトラブルが起きた際には、選手たちは怒りの持って行き場がないだろう。昨日のジロ・デル・トレンティーノでも、チームスカイのエース・ブラッドリー・ウィギンスが勝負どころで電動変速機の原因不明のメカトラブルに見まわれ、怒りを爆発させ、その後も怒りが収まらすコメントを拒否している。ワイヤー式であれば、今回のようにトラブル即走行不能ということはなかったのではないだろうか。そもそもワイヤー変速であれば、シフティングの上手い下手の差が付く部分がある。つまりは乗り手の技術差が直接勝負に反映される。そして選手の精神状態などでシフティングミスなどが起きる可能性もより高く、人間味が犯すミスが勝負を左右する部分がある。しかしそれが電動になれば、誰が操作しても同じように動くのである。これは人間の能力の勝負の面白さ、完璧ではない人間だからこそ起きうるドラマを一つを奪っている事にはならないだろうか?これは以前野球で問題となったストライクゾーン問題を発端とした、アンパイアの機械化議論と似ている気がしてならない。
一般ユーザーレベルではどうだろう。電動変速機は一般ユーザーレベルでは整備が難しく、故障すれば結局メーカー対応にならざるをえないというのは一番の問題だろう。またパーツの互換性が少ないのも相まって、出先での故障となれば即対応は難しく、近隣の自転車屋に飛び込んでも対応できないのが現状だろう。また互換性の少なさからセットで使わねばならず、懐にもとても厳しいものがある。
では電動変速はまったく不要なものなのだろうか?そんなことはないだろう、少なくとも選択肢としてはありだろう。メカに弱く、ただ楽しく走ることだけに専念したい人にとっては、またとない最高の道具である。電池切れのデメリットがあったにしても、それを補うに余りあるメリットが有るのだ。またワイヤー式ではある程度の定期的なメンテナンスを必要とするが、それが少ない事もメンテナンスが苦手なものにとっては嬉しい限りである。変速のオートメーション化とでも言うべき機能は、ユーザーを選ばない、つまり誰でも同じように扱えてしまうという最大のメリットがあるのだ。銀塩(フィルム)のマニュアル式一眼レフはユーザーを選んだが、今のデジタル一眼が誰にでも使えてしまうのと同じようなものだろう。
または握力が弱い人やハンディキャップを持った人にとっても、電動化されたことにより自転車を楽しめる様になったというのも大きなメリットだ。ただそんな中で大きな利益を生まない彼らのために積極的に何かをしようという企業は数少ない。結果論において電動変速機は本来のターゲット層ではなかった彼らにこそ、最も有意義な道具となる可能性がある。
結論としては、一般ユーザー向けには選択肢として存在するべきものであり、レース機材としては無くても良いといえるのではないだろうか。実際ワイヤー式を使用するキャノンデール、サクソ・ティンコフ。オメガファルマ・クイックステップが勝利を量産しているところからも、必要性が必ずしもあるわけではないことは明白だろう。一時自動車レースのF1で過剰なオートメーション化が進み、人間個々のテクニックや能力が無意味に成り兼ねないほどに乗り手を置き去りにしたメーカー同士の開発合戦が横行した。もう運転手なしの自動運転にすればいいのでとまで言われてしまい、結局多くの自動化パーツが禁止になった経緯がある。今自転車でもそういった議論があってもいい時期に来ているのではと思う。
”ユーザーのために”という言葉が時に開発合戦の言い訳に使われてはいないだろうか?ふとそんな疑問を感じてしまうことがある。開発合戦は時として人の目を曇らせてしまうことがある。問題提起というのはよりよい製品づくりへの糧であるはずだ。そんな声をいかに拾い上げるか否か、いかに活かして反映していくかは最終的にはメーカー次第である。でもその為にはタブーと言われようとも声を上げていくことが大切なのである。
2013年4月26日金曜日
2013年4月23日火曜日
アレッサンドロ・ペタッキ引退 「ここで止める」”アレジェット” ペタッキが即時の引退を表明
アレッサンドロ・ペタッキがチームウェブサイトで引退を発表した。輝かしい勝利を挙げてきたスプリンターが18年のキャリアに終止符を突然打った。
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アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・メリダ) |
ペタッキは引退宣言にこう綴る。「僕のこれまでのキャリアは、僕のような選手が目指すような重要なレースでの勝利に彩られて、満足感でいっぱいだ。200に達する勝利で、もはや僕の人生は格別なものになった。
次の次元のことを見つけるためのターニングポイントだ。家族とももっと多くの時間を過ごしたい。こういった考えが僕にキャリアを休止させるよう導いた」。
「アレ・ジェット」の愛称をもつペタッキ。身長184cm、体重74kgのイタリアのラ・スペツィア出身の大柄なスプリンターは現在39歳。1986年から自転車レースをはじめ、1996年にプロ入り。ステージレースのスプリントステージで勝利を量産してきた。
2003年はペタッキがその名を世界に知らしめた最初の年と言えるだろう。ジロ・デ・イタリア第1ステージでマリオ・チポッリーニを破り衝撃的なグランツール初優勝を飾ると、立て続けに5勝を追加。ツール・ド・フランスでは4勝、ブエルタ・ア・エスパーニャで5勝し、グランツールの年間最多勝利数記録である15勝を挙げる。
翌年の2004年はジロ・デ・イタリアでは全21ステージ中9ステージに勝利し、ジロにおける一大会あたりのステージ最多勝数を記録。
ペタッキはジロ、ツール、ブエルタの3つのグランツールすべてでポイント賞を獲得し、2005年には春のクラシック、ミラノ〜サンレモでも勝利。ここまでに通算183勝を挙げてきた。
ペタッキのキャリアに陰りが出たのは2006年。ジロで落車により膝のお皿を割る怪我を負って以来、浮き沈みを繰り返すことに。2007年には持病の気管支喘息の治療薬であるサルブタモールの過剰摂取が原因でドーピング検査で陽性となる。CONI(イタリア五輪委員会)とFCI(イタリア自転車連盟)で処分への判断が割れ、CAS(スポーツ仲裁裁判所)の判決が出ないままレースに出場できない日が続いた。その年のジロの勝利とポイント賞が取り消され、所属したミルラムが契約を解除するなどの事態に。
しかし2009年はジロ2勝を挙げて復活。2010年にランプレに移籍し、ツールではステージ2勝とポイント賞のマイヨ・ヴェールを獲得する活躍を見せた。
2011年はカタルーニャ一周とジロでそれぞれステージ一勝づつを挙げる。しかし2012年からは勝利に恵まれていなかった。
39歳という年齢まで一線級の選手として走り続けた偉大なスプリンターはジロの後でもツールの後でもなく、今ここで自転車を降りるという決意をした。
ツアー・オブ・ターキー2013第2ステージ 佐野淳哉が140kmエスケープ 大落車を免れたクルオピスが勝利を掴む
逃げグループから飛び出して逃げ続けた佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)も、ラスト10kmを切って吸収。ツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)第2ステージは大集団によるゴールスプリントに持ち込まれると思われたが、ラスト600mで発生した落車がスプリンターの明暗を分けた。
第2ステージはアランヤから地中海に沿って西に向かい、トルコ南部の大都市アンタルヤに至る150km。ロシアやドイツ、オランダ、イギリスからの観光客で溢れるリゾート地を駆け抜ける。1km毎に巨大なリゾートホテルが立ち並ぶ幹線道路がコースの大部分を占める。
美しいコースとは裏腹に、欧米と比べてその路面は荒い。観光客が多い地域や幹線道路のアスファルトは滑らかだが、地方の舗装は凸凹。小石が混ざっているというよりは、小石が全体に敷かれているような舗装だ。
絶えず振動があるため、実際の距離以上に疲労を伴うと選手たちは言う。凸凹舗装対策として太いタイヤを使用するチームも多い。サクソ・ティンコフやオメガファーマ・クイックステップはFMBパリ~ルーベの25mmチューブラーを常時使用している。
その他の写真はフォトギャラリーにて!
ツアー・オブ・ターキー2013第2ステージ結果
1位 アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ) 3h23'54"
2位 マルコ・コレダン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
4位 セルゲイ・グレトチン(ウクライナ、トルクセケルスポール)
5位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
6位 リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ビセンテ・レイネス(スペイン、ロット・ベリソル)
8位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、ランプレ・メリダ)
9位 マテウス・ノワク(ポーランド、CCCポルサットポルコウィチェ)
10位 フィリッポ・フォルティン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
41位 別府史之(オリカ・グリーンエッジ)
89位 宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)
177位 佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 6h32'21"
2位 アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)
4位 マルコ・コレダン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス) +04"
5位 ユーリ・メトルシェンコ(ウクライナ、トルクセケルスポール) +06"
6位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、ランプレ・メリダ) +10"
7位 リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 フィリッポ・フォルティン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
9位 グジェゴシ・ステプニャク(ポーランド、CCCポルサットポルコウィチェ)
10位 バティスト・プランカールト(ベルギー、クレラン・ユーフォニー)
ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
山岳賞
ムスタファ・サヤル(トルコ、トルクセケルスポール)
ターキッシュビューティースプリント賞
アフメット・オルケン(チュニジア、トルクセケルスポール)
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レミ・ポリオル(フランス、ソジャサン)とスタートに向かう別府史之(オリカ・グリーンエッジ) |
前夜は停電を伴う雷雨に見舞われたが、レース当日の朝は晴れ。気温が20度を少し上回るぐらいで実に過ごしやすい。観光客向けの遊覧船が多く停泊するアランヤの港の前で、第2ステージのスタートが切られた。
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佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)が逃げに乗る |
初日の第1ステージで大柄な選手を揃えるブランコプロサイクリングやアルゴス・シマノに圧倒された佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)は逃げへの執念を燃やしていた。エーススプリンターのフランチェスコ・キッキ(イタリア)の調子が思わしくないことで、チームとして逃げに選手を送り込む考え。そして佐野はそれを実行へと移した。
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アルゴス・シマノがメイン集団をコントロールし続ける |
5km地点で逃げに乗ったのは、こんがりと焼けた肌と蛍光イエロージャージのコントラストが眩しい佐野。ファブリシオ・フェラーリ(ウルグアイ、カハルーラル)ら5名と逃げた佐野は「今日は早めにアタックに反応するようにしました。集団が緩んだタイミングで自分からアタックして4人で抜け出し、そこに2人が合流。スプリントポイントを除いて、逃げグループはみな協力的でした」と話す。6人での逃げが始まった。
第2ステージはアランヤから地中海に沿って西に向かい、トルコ南部の大都市アンタルヤに至る150km。ロシアやドイツ、オランダ、イギリスからの観光客で溢れるリゾート地を駆け抜ける。1km毎に巨大なリゾートホテルが立ち並ぶ幹線道路がコースの大部分を占める。
美しいコースとは裏腹に、欧米と比べてその路面は荒い。観光客が多い地域や幹線道路のアスファルトは滑らかだが、地方の舗装は凸凹。小石が混ざっているというよりは、小石が全体に敷かれているような舗装だ。
絶えず振動があるため、実際の距離以上に疲労を伴うと選手たちは言う。凸凹舗装対策として太いタイヤを使用するチームも多い。サクソ・ティンコフやオメガファーマ・クイックステップはFMBパリ~ルーベの25mmチューブラーを常時使用している。
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晴れ渡るトルコ南部の街を抜ける |
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アルゴス・シマノがコントロールするメイン集団 |
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トルコ国旗が沿道で踊る |
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仲良く話しながら走る別府史之(オリカ・グリーンエッジ)と宮澤崇史(サクソ・ティンコフ) |
やがて佐野を含む6名の逃げが6分20秒のリードを稼ぎ出すと、ターコイズブルーのリーダージャージを擁するアルゴス・シマノが集団の先頭に立ってコントロールを開始する。今大会唯一中国から参戦しているジ・チェン(アルゴス・シマノ)は「他のチームが協力するだろうから、そんなに厳しい一日にはならない」と話していたが、実質的にアルゴス・シマノのみがメイン集団をコントロールする状況。
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アルゴス・シマノが率いるメイン集団 |
逃げる佐野は時折チームカーに下がって監督と言葉を交わしながら6人のペースをコントロールする。ラスト25kmでタイム差は1分30秒。幅広で直線的なコースは完全に大集団に味方する。タイム差が1分を割り込むと、ラスト17kmで佐野が先頭グループからアタックした。
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平坦路を逃げ続ける佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ) |
佐野はビッグギアを踏んでしばらく独走したが、スプリンターチームの勢いには敵わない。「はじめにブルターニュの選手がアタックし、吸収後に自分がアタック。ソジャサンとコロンビアの選手が付いてきましたが、みんな力が残ってなかった。風が終始吹いていて、きつく感じました」と、ラスト10kmを切って吸収された佐野は語る。140km逃げた佐野は、すっきりとした表情でゴールした。
逃げが吸収されるとスプリンターチームがポジションを争いながらペースアップを開始。オメガファーマ・クイックステップやブランコプロサイクリングが集団をリードしながらアンタルヤの街を抜けてラスト1km。すると2番手を走っていたマーク・レンショー(オーストラリア、ブランコプロサイクリング)が突如バランスを崩して落車した。
ラスト600mで発生したこの落車には、レンショーのすぐ後ろを走っていたテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング)や、クーン・デコルト(オランダ)の力を借りて集団先頭に上がったマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)らが突っ込み、後続の選手たちも止まりきれずに重なりあって行く。道路は完全に塞がれた。
チームメイトとともに隊列を組んでスプリンターを守り、仕事を終えて少し番手を下げていた別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は「選手が四段重ねになっていた。あんな落車は初めてみた」と言う。
逃げが吸収されるとスプリンターチームがポジションを争いながらペースアップを開始。オメガファーマ・クイックステップやブランコプロサイクリングが集団をリードしながらアンタルヤの街を抜けてラスト1km。すると2番手を走っていたマーク・レンショー(オーストラリア、ブランコプロサイクリング)が突如バランスを崩して落車した。
ラスト600mで発生したこの落車には、レンショーのすぐ後ろを走っていたテオ・ボス(オランダ、ブランコプロサイクリング)や、クーン・デコルト(オランダ)の力を借りて集団先頭に上がったマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)らが突っ込み、後続の選手たちも止まりきれずに重なりあって行く。道路は完全に塞がれた。
チームメイトとともに隊列を組んでスプリンターを守り、仕事を終えて少し番手を下げていた別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は「選手が四段重ねになっていた。あんな落車は初めてみた」と言う。
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佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)らの後ろにメイン集団が迫る |
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しばらく単独で逃げ続ける佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ) |
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隊列を組んで集団先頭にでるオリカ・グリーンエッジ |
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落車によってバラバラになった集団でのスプリントで勝利したアイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ) |
スピードダウンすることなくこの落車を免れたのは僅かに数名で、先頭に躍り出たマルコ・コレダン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)がラスト400mから一気にスパート。しかし、徐々にスピードを失ったコレダンを抜き去ったクルオピスが勝利した。
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優勝したクルオピスと讃えあう別府史之(オリカ・グリーンエッジ) |
「落車を何とか免れた時点で、自分の前には5人の選手がいた。そこからスプリントを開始して一人一人捕まえ、ゴール前で最後の一人を追い抜いた。落車しなかったのは運とスキルのおかげ。そしてリー(ハワード)をはじめとするチームメイトたちのおかげだ」。26歳のリトアニア出身スプリンターは、ステージ41位でゴールした別府史之らと抱き合って勝利を喜んだ。
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ゴール後、悔しい表情を浮かべる宮澤崇史(サクソ・ティンコフ) |
落車がラスト3km以内で発生したため、足止めを食らって遅れた選手もステージ優勝者と同タイム扱いに。前日のステージ2位に続いてステージ3位に入ったグライペルがボーナスタイムによって総合首位に立っている。
落車の原因となったレンショーは鎖骨骨折と歯の欠損。グライペルのリードアウト役を担っていたヨナス・ファンヘネヒテン(ベルギー、ロット・ベリソル)は鎖骨脱臼。ともにレースを去ることが決まっている。ボスはハムストリングスの負傷で、レースを続行するかは翌日決める。
この日もキャントウェルのリードアウト役を務めた宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)は89位。「残り2kmでジョニー(キャントウェル)とジョインしたが、既に前に出るには不利な位置になってしまい、最終コーナーでは30番手ほど。そこから前に上がって行くも、集団前方で落車が起こり集団はストップした」。
「上手く噛み合わない」と歯がゆい表情を浮かべる宮澤。「明日からは山岳ステージ。この大会では後半のスプリントステージに勝負をしたいので、明日はアシストに徹する」。翌日の第3ステージは標高1850mの1級山岳ゴグベリにゴールするクイーンステージであり、どのチームも戦略を入れ替える。
落車の原因となったレンショーは鎖骨骨折と歯の欠損。グライペルのリードアウト役を担っていたヨナス・ファンヘネヒテン(ベルギー、ロット・ベリソル)は鎖骨脱臼。ともにレースを去ることが決まっている。ボスはハムストリングスの負傷で、レースを続行するかは翌日決める。
この日もキャントウェルのリードアウト役を務めた宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)は89位。「残り2kmでジョニー(キャントウェル)とジョインしたが、既に前に出るには不利な位置になってしまい、最終コーナーでは30番手ほど。そこから前に上がって行くも、集団前方で落車が起こり集団はストップした」。
「上手く噛み合わない」と歯がゆい表情を浮かべる宮澤。「明日からは山岳ステージ。この大会では後半のスプリントステージに勝負をしたいので、明日はアシストに徹する」。翌日の第3ステージは標高1850mの1級山岳ゴグベリにゴールするクイーンステージであり、どのチームも戦略を入れ替える。
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140kmにわたって逃げた佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ) |
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グライペルとコレダンをおさえて表彰台の真ん中に立つアイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ) |
その他の写真はフォトギャラリーにて!
ツアー・オブ・ターキー2013第2ステージ結果
1位 アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ) 3h23'54"
2位 マルコ・コレダン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
4位 セルゲイ・グレトチン(ウクライナ、トルクセケルスポール)
5位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
6位 リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ビセンテ・レイネス(スペイン、ロット・ベリソル)
8位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、ランプレ・メリダ)
9位 マテウス・ノワク(ポーランド、CCCポルサットポルコウィチェ)
10位 フィリッポ・フォルティン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
41位 別府史之(オリカ・グリーンエッジ)
89位 宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)
177位 佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 6h32'21"
2位 アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)
4位 マルコ・コレダン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス) +04"
5位 ユーリ・メトルシェンコ(ウクライナ、トルクセケルスポール) +06"
6位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、ランプレ・メリダ) +10"
7位 リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 フィリッポ・フォルティン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
9位 グジェゴシ・ステプニャク(ポーランド、CCCポルサットポルコウィチェ)
10位 バティスト・プランカールト(ベルギー、クレラン・ユーフォニー)
ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
山岳賞
ムスタファ・サヤル(トルコ、トルクセケルスポール)
ターキッシュビューティースプリント賞
アフメット・オルケン(チュニジア、トルクセケルスポール)
2013年4月22日月曜日
リエージュ~バストーニュ~リエージュ2013 ダニエル・マーティンがクラシック初勝利 ジロの覇者ヘシェダルが“アシスト”
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強豪ロドリゲスを置き去りにしてゴールへ飛び込むダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) |
“アルデンヌ・クラシック”最終戦となる第99回「リエージュ~バストーニュ~リエージュ」が4月21日、ベルギーで開催され、ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)がクラシック初優勝を果たした。2位にホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、3位にはアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が入った。日本の新城幸也(ユーロップカー)は46位でゴールした。
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スタート前に笑顔を見せる新城幸也(ユーロップカー) |
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優勝候補と目された現世界チャンピオンで地元出身のフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMC) |
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坂道が多いことが特徴のリエージュ~バストーニュ~リエージュ。沿道は熱狂に包まれる |
リエージュ~バストーニュ~リエージュの特徴は、上り坂の多さ。細かいアップダウンが数多く繰り返され、全長261.5kmのコースには11の丘が設定されている。そのため他のクラシックレースと比較すると、オールラウンダーやクライマーがより有利になってくる。
注目が集まったのは、地元出身で2011年にアルデンヌ・クラシック3連勝を飾ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMC)。昨年、今年とクラシックで結果を残せていない英雄の奮起が期待された。また、昨年の上位3名が所属するアスタナ プロチームなど、各チームがエースを揃えてきた。
レースが大きく動いたのは9番目の丘、コート・ド・ラ・ルドゥットだった。序盤から続いた逃げが捕まると、集団が活性化し始める。集団のなかには、エースのピエール・ローランを前方に引っ張り上げる新城の姿もあった。
注目が集まったのは、地元出身で2011年にアルデンヌ・クラシック3連勝を飾ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMC)。昨年、今年とクラシックで結果を残せていない英雄の奮起が期待された。また、昨年の上位3名が所属するアスタナ プロチームなど、各チームがエースを揃えてきた。
レースが大きく動いたのは9番目の丘、コート・ド・ラ・ルドゥットだった。序盤から続いた逃げが捕まると、集団が活性化し始める。集団のなかには、エースのピエール・ローランを前方に引っ張り上げる新城の姿もあった。
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集団の中で走る新城幸也 |
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田園地帯を駆け抜けるプロトン |
残り18km地点、10番目の丘となるコート・ド・コロンステでアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)が仕掛けると、このアタックに反応した数人のなかからライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)がさらに抜け出して独走を開始。コンタドールらを吸収したメイン集団に対して19秒の差をつけ、最後の丘、コート・ド・サンニコラへ突入した。
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アタックを仕掛けたアルベルト・コンタドール |
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独走に入ったライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ) |
登りに入ると、単独で走るヘシェダルに対し、メイン集団は徐々にタイム差を縮めていく。一気に追いつこうと抜け出したのは、4日前の「フレーシュ・ワロンヌ」3位のカルロス・アルベルト・ベタンクール(コロンビア、アジェードゥーゼール ラモンディアル)。それに対応したのはミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)、ロドリゲス、バルベルデ、マーティンら有力選手たち。これにより、ヘシェダルを含む6人が先頭集団を形成、ジルベールやアスタナ勢はメイン集団に取り残された。
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逃げ集団に加われなかったフィリップ・ジルベール |
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ヤコブ・フルグサング(左)をはじめアスタナ勢もメイン集団に取り残された |
牽制状態に入れば集団に飲み込まれかねないような状況だったが、ヘシェダルが先頭を引き続けた。その結果6人のまま最後の坂にたどり着くと、ロドリゲスが高速で飛び出す。バルベルデ、スカルポーニらが急加速に対応できないなか、じわじわその差をつめていったのはダニエル・マーティン。
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ゴール前、サイド・バイ・サイドで競り合うホアキン・ロドリゲス(左)とダニエル・マーティン |
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ポディウムに立つ(左から)2位のホアキン・ロドリゲス、優勝したダニエル・マーティン、3位のアレハンドロ・バルベルデ |
ロドリゲスに追いつくと、一気に突き放しゴールへ。ジロ・デ・イタリア覇者ヘシェダルの逃げと牽引を活かしたガーミン・シャープ勢の見事な勝利だった。
2010年のジャパンカップ覇者ダニエル・マーティンは、念願のクラシック制覇。新城はアシストの仕事をこなしながらも、1分30秒遅れの46位でゴールしている。
リエージュ~バストーニュ~リエージュ2013 結果
1 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) 6時間38分07秒
2 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム) +3秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +9秒
4 カルロス・アルベルト・ベタンクール(コロンビア、アジェードゥーゼール ラモンディアル)
5 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ プロチーム) +18秒
7 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)
8 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
9 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター チーム)
10 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
2010年のジャパンカップ覇者ダニエル・マーティンは、念願のクラシック制覇。新城はアシストの仕事をこなしながらも、1分30秒遅れの46位でゴールしている。
リエージュ~バストーニュ~リエージュ2013 結果
1 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) 6時間38分07秒
2 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ チーム) +3秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +9秒
4 カルロス・アルベルト・ベタンクール(コロンビア、アジェードゥーゼール ラモンディアル)
5 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ プロチーム) +18秒
7 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)
8 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
9 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター チーム)
10 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
ツアー・オブ・ターキー2013第1ステージ 海沿いの平坦路で大会最初のゴールスプリント キッテルが他を圧倒
ビッグスプリンターがひしめくツアー・オブ・ターキー。慣れ親しんだクーン・デコルト(オランダ)とのタッグでマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)が1勝目を掴んだ。別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は28位で初日を終えている。
i第49回ツアー・オブ・ターキーの開幕地は、2年連続で地中海に面したリゾート地アランヤ。トルコの田舎町という趣ではなく、海岸通にはリゾートホテルが立ち並ぶ。目新しい建物も多く、海外からの観光客は年々増加しているという。
政府のバックアップによって、力の入ったオーガナイズで知られるツアー・オブ・ターキー。UCIヨーロッパツアーに組み込まれているものの、チームが現地に持ち込んだのはバイクなどの機材のみ。チームカーなどの車両は大会側が用意したものを使用する。
9つのUCIプロチームを含む25チームが集まったこの大会。史上初めて日本人選手が3名もスタートラインに並んだ。
ツール・ド・ランカウイ以降、佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)は持病によってしばらく日本で療養。復帰戦のブラバンツペイルで落車したものの、意気揚々とトルコに乗り込む。「今日はキッキでスプリントを狙うので、集団を引く展開になれば(自分の出番がやってくる)」と佐野。
「パリ~ルーベ後、精神的に1週間ほどオフにした」と話すのは別府史之(オリカ・グリーンエッジ)。5月にはツアー・オブ・カリフォルニア出場が予定されており、クラシックシーズンを終えた別府がここトルコで再び動き出す。
3年連続出場の宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)は「ベルギーレースでの落車後、散々な状態が続いていたが、気温が上がってから調子が戻って来た」と笑顔をこぼす。その役割はキャントウェルのサポート。それぞれのチームでそれぞれの役目を担う3名がスタートを切った。
第1ステージはアランヤから海沿いを東に向かい、65km地点で折り返してアランヤに戻る143km。アタックがようやく決まったのは、42.6km地点にあるこの日唯一の、そして今大会最初のカテゴリー山岳。スタート前のチームプレゼンテーションでひと際大きな声援を受けていた地元トルコのムスタファ・サヤル(トルコ、トルクセケルスポール)がアタックを成功させた。
サヤルにはミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)ら4名が合流し、5名の逃げが出来上がる。逃げの切っ掛けを作ったサヤルは2級山岳を先頭で通過し、真っ赤な山岳賞ジャージを着る栄誉を得る。これをスプリンターチームが追撃する“平坦ステージらしい”展開に。
メイン集団を牽引したのはブランコプロサイクリングとアルゴス・シマノ。それぞれボスとキッテルのために長時間メイン集団を引き続ける。地中海に面したアップダウン区間でも集団のペースは落ちず、最大5分まで広がったタイム差は見る見るうちに縮まって行く。
スプリンターチームを振り切るべく逃げグループは追い風に乗ってペースを刻んだが、やがてタイム差は1分を割り込む。ラスト16km地点のフィニッシュライン通過を前に独走に持ち込んだイグナチエフも吸収。スプリンターチームによるスピードバトルが始まった。
ラスト10kmを切ると、ヴィーニファンティーニの佐野も集団前方に姿を見せる。しかし佐野は「前に出るのが早すぎました。今日はリードアウトに失敗しているチームが多かったと思います。チームには小柄な選手が多いので、大柄でスピードのあるブランコやアルゴスには敵わなかった」と悔いる。ラスト5kmで最終コーナーを曲がると、ヴィーニファンティーニのトレインは崩れてしまう。
ブランコプロサイクリングとアルゴス・シマノの2チームが強力に集団を率いるその後ろでは、サクソ・ティンコフの宮澤がキャントウェルを連れてポジションを上げる。「ジョニー(キャントウェル)が残り2kmで良いポジションがとれてなかったので、ブランコの後ろまで連れて上がり、自分の仕事は終わった」と、120位でゴールした宮澤は振り返る。
オメガファーマ・クイックステップやアクセントジョブス、ロット・ベリソルもリードアウトバトルに加わり、ラスト1kmからアルゴス・シマノが再び先頭へ。するとユーリ・メトルシェンコ(ウクライナ、トルクセケルスポール)が真っ先に仕掛けた。
一気に先頭に立つメトルシェンコ。その後ろからキッテルが落ち着いてスプリントを開始。付き位置のグライペルを引き離す勢いで加速したキッテルが一躍先頭に立つ。追随したグライペルに付け入る隙を与えない走りで、キッテルが悠々と先頭でゴールした。
「とにかく脚の調子はすごく良い。先週のトレーニングキャンプでチームメイトたちと徹底的に戦略を練ったんだ。デコルトの後ろからタイミングを待ってスプリントした。最高のチームワークだった」。ゴール横のトレーラーに作られた簡易記者会見デスクに腰を下ろしたキッテルはそう話す。
「アンドレ(グライペル)は調子が良さそう。今日トラブルで勝負には絡めなかったテオ・ボスとグアルディーニも好調だと聞いている。でも他の誰が強いかなんて関係ない。明日リーダージャージを着て走るのが楽しみだし、明後日まだリーダージャージを着ていたい」。ターコイズブルーのリーダージャージを着たキッテルは、翌日の第2ステージでも再び勝利を狙って行く。
終盤までハワードとクルオピスをサポートしながら走った別府は、ゴール前でエーススプリンターたちと離れてしまう。「ラスト500mで10番手あたりにつけていた。スプリントしたかった」と話し、そのままスプリントの流れに乗って28位。クラシックシーズンを終えてなお好調を維持していることを伺わせた。
ツアー・オブ・ターキー2013第1ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)
山岳賞
ムスタファ・サヤル(トルコ、トルクセケルスポール)
ターキッシュビューティースプリント賞
ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)
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チームプレゼンテーションを待つ宮澤崇史(サクソ・ティンコフ) |
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スタートを待つ佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ) |
9つのUCIプロチームを含む25チームが集まったこの大会。史上初めて日本人選手が3名もスタートラインに並んだ。
ツール・ド・ランカウイ以降、佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)は持病によってしばらく日本で療養。復帰戦のブラバンツペイルで落車したものの、意気揚々とトルコに乗り込む。「今日はキッキでスプリントを狙うので、集団を引く展開になれば(自分の出番がやってくる)」と佐野。
「パリ~ルーベ後、精神的に1週間ほどオフにした」と話すのは別府史之(オリカ・グリーンエッジ)。5月にはツアー・オブ・カリフォルニア出場が予定されており、クラシックシーズンを終えた別府がここトルコで再び動き出す。
3年連続出場の宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)は「ベルギーレースでの落車後、散々な状態が続いていたが、気温が上がってから調子が戻って来た」と笑顔をこぼす。その役割はキャントウェルのサポート。それぞれのチームでそれぞれの役目を担う3名がスタートを切った。
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ステージ上で紹介される別府史之(オリカ・グリーンエッジ) |
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アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)の不思議なシューズ |
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ムスタファ・サヤル(トルコ、トルクセケルスポール)が積極的に逃げグループを率いる |
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海岸線を行くプロトン |
メイン集団を牽引したのはブランコプロサイクリングとアルゴス・シマノ。それぞれボスとキッテルのために長時間メイン集団を引き続ける。地中海に面したアップダウン区間でも集団のペースは落ちず、最大5分まで広がったタイム差は見る見るうちに縮まって行く。
スプリンターチームを振り切るべく逃げグループは追い風に乗ってペースを刻んだが、やがてタイム差は1分を割り込む。ラスト16km地点のフィニッシュライン通過を前に独走に持ち込んだイグナチエフも吸収。スプリンターチームによるスピードバトルが始まった。
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海沿いのアップダウンコースを進むプロトン |
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チームメイトを連れて集団前方に上がる別府史之(オリカ・グリーンエッジ) |
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ロット・ベリソルが集団前方に人数を集める |
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佐野淳哉(ヴィーニファンティーニ)も集団前方へ |
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マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)を先頭にスプリント |
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グライペルをも寄せ付けないスプリントで勝利したマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) |
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レース終盤にキャントウェルを引き連れて集団前方に上がった宮澤崇史(サクソ・ティンコフ) |
「とにかく脚の調子はすごく良い。先週のトレーニングキャンプでチームメイトたちと徹底的に戦略を練ったんだ。デコルトの後ろからタイミングを待ってスプリントした。最高のチームワークだった」。ゴール横のトレーラーに作られた簡易記者会見デスクに腰を下ろしたキッテルはそう話す。
「アンドレ(グライペル)は調子が良さそう。今日トラブルで勝負には絡めなかったテオ・ボスとグアルディーニも好調だと聞いている。でも他の誰が強いかなんて関係ない。明日リーダージャージを着て走るのが楽しみだし、明後日まだリーダージャージを着ていたい」。ターコイズブルーのリーダージャージを着たキッテルは、翌日の第2ステージでも再び勝利を狙って行く。
終盤までハワードとクルオピスをサポートしながら走った別府は、ゴール前でエーススプリンターたちと離れてしまう。「ラスト500mで10番手あたりにつけていた。スプリントしたかった」と話し、そのままスプリントの流れに乗って28位。クラシックシーズンを終えてなお好調を維持していることを伺わせた。
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ステージのトップスリーが表彰台に上がる |
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ターコイズブルーのリーダージャージに袖を通したマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) |
ツアー・オブ・ターキー2013第1ステージ結果
Pos. | Rider | Team | EuT | Pnt | Time |
---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() | アルゴス・シマノ | 20 | 30 | 3:08:37 |
2 | ![]() | ロット・ベリソル | 14 | 18 | ,, |
3 | ![]() | トルクセケルスポール | 8 | 12 | ,, |
4 | ![]() | ネットアップ・エンデュラ | 7 | 7 | ,, |
5 | ![]() | オメガファーマ・クイックステップ | 6 | 4 | ,, |
6 | ![]() | カハルーラス・セグロスRGA | 5 | 3 | ,, |
7 | ![]() | アクセントジョブス・ワンティ | 4 | 2 | ,, |
8 | ![]() | CCCポルサット・ポルコウィチェ | 2 | 1 | ,, |
9 | ![]() | コロンビア | ,, | ||
10 | ![]() | バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス | ,, | ||
28 | ![]() | オリカ・グリンエッジ | ,, | ||
120 | ![]() | サクソ・ティンコフ | ,, | ||
159 | ![]() | ヴィーニファンティーニ | ,, | ||
160 | ![]() | アルゴス・シマノ | ,, | ||
Pos. | Rider | Team | EuT | Time |
---|---|---|---|---|
1 | ![]() | アルゴス・シマノ | 10 | 3:08:27 |
2 | ![]() | ロット・ベリソル | 0:04 | |
3 | ![]() | トルクセケルスポート | 0:06 | |
4 | ![]() | ネットアップ・エンデュラ | 0:10 | |
5 | ![]() | オメガファーマ・クイックステップ | ,, | |
6 | ![]() | カハルーラス・セグロスRGA | ,, | |
7 | ![]() | アクセントジョブス・ワンティ | ,, | |
8 | ![]() | CCCポルサット・ポルコウィチェ | ,, | |
9 | ![]() | コロンビア | ,, | |
10 | ![]() | ヴァルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス | ,, |
ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)
山岳賞
ムスタファ・サヤル(トルコ、トルクセケルスポール)
ターキッシュビューティースプリント賞
ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)
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