新城幸也(ユーロップカー)が逃げを見せたこの日、集団スプリントで勝利したのはイギリスチャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ)。「チームの働きに報いることができて嬉しい」と、アシストへの感謝をコメントした。
ツール通算24勝目を挙げたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)
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ライバルを振り切ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ) フォト:Cor Vos |
これでプレッシャーがなくなった。ようやくツール・ド・フランスでステージ優勝できた。昨日の第4ステージでも勝てればよかったのだけど。だからといって、このツールでステージ1勝することを見くびっているわけではない。毎年、ぼくたちはあらゆる犠牲を払ってツールに打ち込んでいる。チーム全体もそうやって作られている。
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チームメイトと健闘を称え合うマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ) フォト:Cor.Vos |
今日はミハル・クウィアトコウスキー(ポーランド)の素晴らしい仕事のおかげで勝てた。彼が新人賞を獲得していて、その後押しもあって、ぼくたちは今日のスプリントにすべてを注ぎ込むことができた。みんなで勝利を掴めたことに満足している。
今日は感激はしていない。でも、チームメイトたちは献身的だった。終盤だけじゃくて、一日中ずっとだ。これに報いることができたほうが重要だ。チームメイトたちは、その走りでモチベーションを示してくれた。いつも言ってるように、そういう態度が特別なものを生み出してくれる。
ヘルト・ステーグマンス(ベルギー)の走りも良かったよね? 実際、ぼくは今日はなにもしてない。あれでスプリントで負けたら、本当に彼らに申し訳がない。それくらい素晴らしかった。チームメイトたちは今日は一日中ずっと一緒にいてくれた。ぼくはステーグマンスの後ろにいたので、ずっと向かい風を感じることもなかった。
ステーグマンスとは最後の山岳でも一緒にいて、終盤にチームメイトたちに逃げグループを捉まえてもらう必要があった。彼は穏やかなままで、スピードは乗っていたけど、加速しなくても後ろについていけた。残り250mまでは、彼のペースについていっただけだ。本当にとてもうれしい。これこそが、オメガファルマ・クイックステップに移籍した理由だ。レースに出てステージで優勝する。今日はそれをやった。
総合1位のサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
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チームメイトに守られて走るサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) フォト:A.S.O. |
ゴールのときは集団前方付近にいた。正確な位置はわからない——たぶん、集団の第2集団みたいになっているどこかにいたのだと思う。集団の前方にいるのはトラブル回避のためにも重要だ。
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表彰台で笑顔を見せるサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) フォト:Cor.Vos |
まだ夢は続いている。もう1日、マイヨ・ジョーヌを着ることができる。今日は手強いステージだった。一日中ずっと狭い道で、向かい風だった。でも、今日もまた素晴らしいチームワークのおかげで、次のステージもマイヨ・ジョーヌを着られることになった。
このチームには満足している。たしかに、チームのなかには、チームのためにジャージをキープするのが主な役割となってしまった選手もいる。ぼくは、このチームなら、これから数日間のステージでも予想以上の結果を出せると思っている。
自分の背後で落車が発生したにちがいないとは感じた。直接見てはなかったけど、終盤はとても混戦模様になっていたから。ステージの終盤にはいくつかの落車があった。わずかながら神経質になっている選手もいるし、ほとんどの選手は位置取り争いも激しかったから。今日はタフなステージだった。
逃げ集団も強かったので、最初から大きな差がついてしまった。チームメイトの何人かがしっかり走ってコントロールしたおかげで、ようやくステージの後半で一息つくことができた。
ポイント賞・ステージ3位のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)
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ポイント賞リーダーのペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) フォト:A.S.O. |
自分の感覚はまだ本調子じゃない。でも、中間スプリントや最後のスプリントでの走りには満足できた。日を追いながら、調子を確かめるつもりだ。今日はまさにスプリンターとくにピュア・スプリンターのためのステージだった。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファルマ・クイックステップ)に数ポイントほど負けてしまったけど、それでもかまわない。大切なのは大負けしないことだ。カヴェンディッシュは世界最速の選手で、彼に勝つのは不可能に近い。
敢闘賞のトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
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ファーストアタックを決め敢闘賞を獲得したトーマス・デヘント(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) フォト:A.S.O. |
新聞などのメディアでは、今日はスプリンターの日と言われていたけど、自分なりにコースガイドでプロフィールを詳しく調べてみると、実際にはとてもタフなステージになりそうなことと、自分がよく知っているグランプリ・ラ・マルセイエーズ(毎年2月に開催されるUCIレース)に似ていることがわかった。
最後の40kmはあまり平坦ではなかったので、アーリーアタックが最終的に実を結ぶだけのチャンスもあったはずだった。最終的に220kmを走ってきて、全部がうまく行ったとは感じてなかった。でも、最後まで挑戦はした。集団に吸収されてしまったのは不名誉だと思う……でも、それは挑戦しなければ、わからないことだ。
217kmを逃げて、惜しくも吸収された新城幸也(日本、ユーロップカー)
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J SPORTSの電話インタビューに応える新城幸也(ユーロップカー) フォト:Makoto.Ayano |
残念でしたね。ほんとに。挑戦してみたんですけどね。
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逃げ集団の中で走る新城幸也(ユーロップカー) フォト:Makoto.Ayano |
アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)のアタックを追わなかったことについて
チームメイトのケヴィン・レザ(フランス)が追ったのでぼくが追う必要もないし、正直、頂上で30秒切ってるって言われたんで、あぁ難しいかなと思ったんで。2人でまわるより4人でまわったほうが、もしかしたらギリギリ、ゴール近くまでいけたかもしれませんね。
200km近くを逃げたことについて
もっといい方法が他にもあったと思うんですけど、今日はできるだけのことはしたつもりではあります。でも、悔しいですね。最後までたどりつけなかったのは。前半はきつかったんですけど、後半に徐々にエンジンがかかってきて、最後は調子よかったです。
チームのオーダーについて
ミーティングでぼくとケビンが逃げに乗ることになったんです。1人でもよかったんですけど、まあ2人になったんで、なおさらよしってことで。
ステージ優勝は遠くないのでは?
がんばります。ちょっと(ステージ優勝は)意識してましたけどね、最後の山岳賞(ポイントを)超えるあたりでは。
選手紹介
マーク・カヴェンディッシュ
選手名
マークサイモン・カヴェンディッシュ Mark Simon Cavendish
生年月日
1985年5月21日
国籍
イギリス(マン島)
チーム
オメガファルマ・クイックステップ
身長
175cm
体重
60kg
過去のツール成績
2013 区間1勝(ステージ5)
2012 総合142位 区間3勝(ステージ2,18,20)
2011 総合129位 ポイント賞 区間5勝(ステージ5,7,11,15,21)
2010 総合153位 区間5勝(ステージ5,6,11,18,20)
2009 総合130位 区間5勝(ステージ2,3,10,11,19)
2008 リタイア 区間4勝(ステージ5,8,12,13)
2007 リタイア
過去のチーム
2013 オメガファルマ・クイックステップ
2012 スカイプロサイクリング
2011 HTC・ハイロード
2010 HTC・コロンビア
2009 コロンビア・HTC
2008 コロンビア
2007 Tモバイル
2006 Tモバイル
過去の主な成績
2013
イギリス選手権ロード優勝、ZLMツール総合3位、ジロ・デ・イタリア区間5勝 ポイント賞、シュヘルデプライス2位、ミラノ~サンレモ9位、ティレーノ~アドリアティコ区間1勝、西フラーンデレン3日間レース総合6位、ツアー・オブ・カタール総合優勝 区間4勝 ポイント賞、ツール・ド・サンルイス区間1勝
2012
ツアー・オブ・ブリテン区間3勝、デンマーク一周区間1勝、ZLMツール総合優勝、ジロ・デ・イタリア区間3勝、ティレーノ~アドリアティコ区間1勝、クールネ~ブリュッセル~クールネ優勝、ツアー・オブ・カタール総合6位 区間2勝
2011
世界選手権ロード優勝、ツアー・オブ・ブリテン総合13位 区間2勝、ロンドン・サリーサイクルクラシック優勝、ジロ・デ・イタリア区間2勝、シュヘルデプライス優勝、ツアー・オブ・オマーン区間1勝
2010
コモンウェルスゲームズ7位、ブエルタ・ア・エスパーニャ区間4勝 ポイント賞、コッパ・ベルノッキ3位、ツアー・オブ・カリフォルニア区間1勝、ツール・ド・ロマンディ区間1勝、カタルーニャ一周区間1勝、クラシカ・デ・アルメリア2位
2009
ツアー・オブ・ミズーリ区間2勝、ツアー・オブ・アイルランド区間1勝、スパルカッセン・ジロ優勝、ツール・ド・スイス区間2勝、ジロ・デ・イタリア区間4勝、デパンヌ3日間レース区間2勝、ミラノ~サンレモ優勝、ティレーノ~アドリアティコ区間1勝、ツアー・オブ・カリフォルニア区間2勝、ツアー・オブ・カタール総合9位 区間2勝